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2012年10月 7日 (日)

ハラウェイさん、さすがです

Motokonet_2

なんかこんなの残ってた。
ま、いいや

先日イノセンスを見直したので、攻殻台詞を大幅に増やしてみました。
考察については、おいおい・・・


で、本日はイノセンスで重要な役回りを示す(と思う)ハラウェイさんの台詞について少々考察。
ハラウェイさんが重要人物かどうかは異論があるところであろうが、がぶさんは最重要人物と捉えている。
なぜならば、あの声優が榊原良子さんだから。
押井監督と榊原さんの出会いは、パトレイバーかしら?
うる星やつらの劇場版第一作でも榊原さんはエルさま役で出演している。
GIGで首相をやったのも彼女。
レイバーのときは監督の要求が多くて、もめた、とかなんとか聞いたような気がする。
しかし、揉めるだけ彼女の能力を買っている、彼女に対する全幅の信頼がにじみ出ている気がする。
そんな榊原さんがやった役だもの。
ハラウェイさんは、押井監督のもつ「なにか」を伝える役であるに相違あるまい。
ひとまず、ハラウェイさんの台詞で気になるところ、とそれについてのがぶさん感想をつらつら、と書いていこう。




「ダブルオーバックでこの子を潰した人ね。せめて50口径のホローポイントにしてくれれば復元も楽できたのに」(ハラウェイ)




一つの薬きょうに9個の鉛球が入った弾丸が00-BUCK。日経キャラクターズ創刊号「イノセンス」69の秘密にそう書いてある。つまりこの弾を使うと対象物はぐちゃぐちゃになる。ホローポイントだと一箇所が貫通した後に弾丸がめくりあがるから弾のスピードはゆっくりになる。ハイスピードで貫通しないがゆえに内臓とかそれに相当する器官がより高度に破壊されるが広範囲の破壊にはならず復元は楽、と言うこと。
「この子」という言葉から既にハラウェイさんは人形に対する一方ならぬ愛情を持っていることがわかる。

「撃たれる前に自殺しようとしていた、そうよね?」(ハラウェイ)

「人間に危害を加えない条件下において自らの存在を維持せよ。正確には自壊と呼ぶべきものだと思うけど」(トグサ)
ロボット3原則の3をトグサが簡単に説明したものだが。彼は「自殺」という生命に対する言葉をアンドロイドに使うのは正しくない、と思っているので「自壊」だろ?と言いなおしている。
既にこの時点でハラウェイさんはトグサと見解が異なる。

「ガイノイドたちは自ら故障することによって人間を殺す許可を作り出す、但しその論理的帰結として倫理コード第3条から開放される」(ハラウェイ)

ちなみに倫理コード第3条は攻殻の中で存在する名称
SF作家アシモフが「鋼鉄都市」で書いたロボット3原則を指していると思われる(日経キャラクターズ創刊号「イノセンス」69の秘密より)





「お望みなら。人間と器械の区別を自明のものとしたいならね」(ハラウェイ)




ハラウェイは人間と器械の区別をどこでするのか?と暗に問うているが、それについて争う気もない。初めから人間とロボットは違うものだ、と思い込んでいる人間=トグサと話がかみ合うわけもないからだ。

「人間がロボットを捨てるからよ」(ハラウェイ)
「ロボットたちは使い捨てをやめて欲しいだけなのよ」(ハラウェイ)
「人間はこうまでして自分の似姿を作りたがるのかしらね」(ハラウェイ)




ハラウェイは器械に心があることを肯定している。自分に似せたものを作り出す人の行為については、解決していない命題の模様。しかし、子供をつくることを究極の人形遊び、と評してトグサの怒りを買う。ハラウェイにしてみれば、個として意識の確立していないこどもを生命体とするなら、心を持った人形も生命体と認めてもいいんじゃない?と言っているようだ。




トグサは人形、器械、アンドロイドといった類が人間と同一のレベルに尊重されるべきとは考えていない。
それに対しハラウェイはゴーストダビングで魂まで入れられた人形を、どこで人間と区別するんだ?と言っている。




”Homo ExMachina"



機械仕掛けの人間の意味だ。
択捉にある足だけの銅像の足元に彫ってある。
攻殻のように電脳化が一般化され体が機械化されていくのになんの抵抗もない時代に、「機械仕掛けの人間」と「人間じみた器械」とをどう区別していけばいいのだろう?
ハラウェイさんはそこに境界線はない、と捉えているようだ。
トグサはまだ異論があると思われるけれどもね。



人形に魂があるとか、ないとかを電脳化もされてない今の時代に論ずる気はない。
しかし、「イノセンス」という映画を見るに当たっては人形=使い捨てられる者への哀切がなければ見ても旨みは少なかろう。


ハラウェイさんの役割=都合よく捨てられる声なきものの代弁者


と、みた。
ハラウェイさんと彼女の語る人形論がなければイノセンスは素子に固執して黄昏てるおっさんの話で終わってしまうからな。
ハラウェイさんの話がなければ、最後の船の場面は人形好きのおっさんが、生き延びるためにロボットを暴走させた少女を責めているだけで、全面的に「このおっさん=バトー、おかしい」ってことになるからな。
「私は人形なんかになりたくなかったんだものー」
で、バトーが絶句したり、
「鳥の血に悲しめど魚の血に悲しまず」
と素子が慰めたり
の場面は、力不足になるものな。





・・・というわけで、ハラウェイさん、いい仕事してます、のおはなし

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